バイオリンの顎当てが合わないと、どうしたら良いか悩みますよね。
そもそも顎当ての位置やカバーがあることを知らない方も多いと思います。
しかし顎当てが合わないままバイオリンを弾くと、身体に余計な負荷がかかり、痛みが出たり、無理な姿勢で弾くことになります。
ここではバイオリンの顎当てについて詳しくご紹介!
顎当ての役割から位置やカバー、おすすめの種類を解説していきます。
バイオリンの顎当ての役割
バイオリンの顎当てには、演奏する際に顎と肩で挟むことでバイオリンを安定させるという役割があります。
もともとバイオリンには顎当てがついていませんでした。
バイオリンが誕生した1530~1560年では、主に声楽曲の旋律や舞踏会での伴奏楽器として演奏されていました。
その後1600年頃から、バイオリンの独奏曲などの複雑な曲が誕生したことで、バイオリンの奏法自体が変わっていきました。
具体的には、左手の1の指の場所が変わるポジション移動や、音色が豊かになるビブラートをかけるようになったことです。
しかし、その時にしっかりとバイオリンを支えていないとバイオリンがグラグラと揺れてしまいます。
そうなっては、演奏が上手くできませんよね。
そこで顎当てが開発され、バイオリンを安定させることができるようになったのです。
バイオリンの顎当ての種類
バイオリンの顎当ての型の種類は非常に多く、数十種類あると言われています。
ここでは、現在主に使用されている3つのタイプがあります。
- グァルネリ型
- ドレスデン型
- フレッシュ型
ちなみに、顎当ての木材は、エボニー(黒檀)、ローズウッド(紫檀)、ボックスウッド(つげ)の3種類があります。
見た目の違いだけでなく、音色にも違いが出てきます。
今回は主に使用されている顎当ての型3つを、それぞれ詳しくご紹介していきます。
グァルネリ型
グァルネリ型は、お皿がテールピースの左側にあり、テールピースの上から覆うように取り付けられています。
グァルネリ型は現在、最も多くのバイオリン奏者に使用されているスタンダードな顎当てです。
ちなみに、型名の由来は、世界3大バイオリン製作者グァルネリです。
グァルネリの顎当てがこのタイプだったことから、その名が付けられたと推測されています。
ドレスデン型(ヒル型)
グァルネリ型と同様にお皿はテールピースの左側にありますが、ドレスデン型はお皿のみのシンプルな形が特徴です。
現在は、子供用の分数楽器に多く使用されています。
そして実は、ドレスデン型の中にも様々なタイプがあるんです。
お皿が分厚くてカーブが深いタイプや、反対にお皿が薄くてフラットな形状のタイプもあります。
フレッシュ型
取り付ける位置はグァルネリ型と同じですが、お皿がテールピースの真上にあるのが特徴的な顎当てです。
私自身あまりお目にかかったことがなく、使用者はかなり少ない型です。
バイオリンを身体の中心で構える方や肩当てを使わない方は試す価値あり!
フレッシュ型の中でも、顎を引っ掛けるための膨らみがあるものはオールド・フレッシュ型。
反対に、膨らみがなく、フラットな形状のものをニュー・フレッシュ型と言います。
バイオリンの顎当ては自分で交換できる?
バイオリンの顎当ての交換は、弦楽器専門店や工房に在中しているリペアマンにお願いしましょう!
自分に合った顎当てを提案してもらうことができ、取付時の絶妙な調整も任せられます。
楽器と顎当ての相性が悪く、ぶつかってしまう箇所がある場合でも安心です!
どうしても自分で顎当てを交換したい場合は、まずは顎当て専用のレンチを用意しましょう。
そして、顎当ての金具にある穴にレンチを入れて回すと、顎当てを取り外したり、取り付けたりすることができます。
しかし、顎当ての取り付け方や外し方、位置を間違えてしまうと、本来の顎当ての役割を果たせない場合があります。
最悪の場合、顎当てが急に外れてバイオリンが破損するリスクも…。
顎当てを交換したい方は、できれば弦楽器専門店や工房に在中しているリペアマンにお願いしましょう!
バイオリンの顎当てが合うか合わないかの判断基準
実際、バイオリンを挟んだ時に顎当てが自分に合っているのかどうか、わかりづらいですよね。
わからないまま顎当てが合っていない状態だと、綺麗なバイオリンの構え方ができないです。
そのため、無理な姿勢になってしまい、首や肩を痛めてしまう可能性があります。
ここでは、バイオリンの顎当ての正しい位置とバイオリンの顎当てが痛い時の対処法についてご紹介していきます!
バイオリンの顎当ての正しい位置
まず、バイオリンを挟む時は、顎のやや左側で顎当ての手前のカーブに軽く引っ掛けるようにして挟みます。
グァルネリ型やドレスデン型の顎当ての場合は、顎先がバイオリンの中心に来るようにしましょう。
フレッシュ型の場合は、バイオリン中央に顎当てがあるので、顎先がやや右側にずれていきます。
どちらも、顎当てを軽く引っ掛けるようにするのがポイントです。
そして、手を離してバイオリンを挟んだ時に、若干バイオリンの渦巻きの方(自分と反対側)が下がっていれば大丈夫です。
バイオリンの顎当てが痛い
バイオリンの顎当てが痛い場合は、まずは姿勢を再確認したり、肩当ての高さを調節してみてください。
首が痛かったり、負荷をかけてしまうような場合は、肩当ての高さを調節すると解決することもあります。
ただし、そもそも顎を引っ掛けにくく、余計な力が入ってしまい痛いということもあります。
この状態では、バイオリンを安定させることも難しくなるため、顎当てが合っていない可能性が高いです。
お皿のカーブの深さや、手前側の膨らみ具合で顎の引っ掛けやすさが変わるので、顎当てを交換するのがおすすめです。
バイオリンの顎当てカバーやハンカチってどうなの?
バイオリンの顎当てに、顎当てカバーやハンカチを挟むメリットを4つ紹介します。
- 顎当てによる痛みを和らげる
- 顎のアザの防止・悪化防止
- 汗が顎当てにつかない
- ファンデーションを顎当てに付けないため
特に小さなお子様だと顎当ての金具が当たり、痛がる子も多いです。
また、顎や首にアザがあり、ヒリヒリと痛い方も少なくありません。
そのため、顎当てカバーやハンカチを挟んでおくと痛みを和らげることができるのでおすすめです。
しかし、顎当てカバーやハンカチを挟むことのデメリットもあります。
- ハンカチの場合、滑りやすい
- バイオリンの響きが抑えられてしまう
ハンカチでバイオリンが滑ってしまうのが気になる方は、顎当てカバーがおすすめです。
弦楽器専門店や工房に売っていますが、置いてあるところが少ないので、ネットで購入する方が早く手に入るかもしれません。
顎当てカバーやハンカチによるデメリットはありますが、先ほど紹介したようにメリットもたくさんあります。
特に痛みのある方は我慢して弾くと辛いので、顎当てカバーやハンカチを挟むのをおすすめします。
バイオリンの顎当てを交換する時の選び方
バイオリンの顎当てを選ぶ際は、ネットではなく、弦楽器専門店や工房で試奏するのがおすすめです。
自分に合う顎当てを提案してくれたり、顎当てが合っているか確認してもらえます。
試奏する場合は、予め試奏が可能かどうか問い合わせし、予約を入れておくことをおすすめします。
顎当ての選び方は、顎当て高さやカーブの深さ、左右の位置から自分に合うものを選んでいきます。
ここで言う「自分に合うもの」というのは、余計な力を必要とせず、楽な姿勢でバイオリンを挟めることを意味しています。
まず顎当ての高さについてですが、主に首が長い人の場合は、顎当ての高さは高め、首が短い人は低めのものを選んでいきます。
次にカーブの深さは、実際に自分がバイオリンを挟んでみた時に、余計な力を必要とせず、楽に挟めるものを選ぶようにします。
基本的には、カーブが深い方が顎に引っ掛けやすく挟みやすいですが、個人差があるので実際に挟んでみてください。
左右の位置は、自分が挟んだ時に顎がテールピースから見てどこにあるのかを見てから決めます。
バイオリンの顎当てが合わない時のおすすめの選び方まとめ
ここまでバイオリンの顎当てについて紹介していきました。
- 顎当てにはバイオリンを安定させる役割がある
- 顎当て3種類ご紹介
- 顎当ての交換はリペアマンにお願いした方が安心
- 顎当ての合う合わないの判断基準
- 顎当てカバーやハンカチを挟むメリット
- 顎当ての選び方
顎当てが合わないと身体の故障にも繋がります。
顎当てを選ぶ際は、ぜひ参考にしてみてください!
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